アコヤ真珠は美しい真珠ですが、クロチョウガイ(黒蝶貝)から取れる黒真珠(黒蝶真珠)も魅力的です。
黒真珠は黒色の外に光の加減で赤、緑など様々な色に見えます。
クロチョウガイは他の真珠貝と同じウグイスガイ科の二枚貝で、全長10~15㎝ほどの大きさに成長します。
赤道を中心として熱帯、亜熱帯の海域に広く分布しますが、日本では沖縄・八重山諸島で養殖されています。
琉球真珠が黒真珠に分類されます。琉球真珠は世界で初めてクロチョウガイの養殖に成功しましたし、シロチョウガイの養殖にも成功しています。石垣島の川平湾や西表島の舟浮が主な養殖場です。
クロチョウガイ(黒蝶貝)の内側は銀白色の光沢を持つ真珠層で、その周縁部だけ黒味を帯びることから、「ブラックリップ」という英名の由来があります。
黒真珠の最大の魅力は、その豊富な色のバリエーションにあります。これは母貝のクロチョウガイが、赤褐色、緑褐色、黄褐色の3色の色素を持つためです。
この三つの色素が混ざり合うことでブラック系、レッド系、グリーン系、イエロー系などの多彩な色が生まれます。
黒真珠の世界的な産地であるタヒチの海と比較すると、クロチョウガイの北限に近い沖縄の海は海水温が低く、貝の成長は遅くなります。しかし、それだけきめの細かい真珠層を巻いた黒真珠が育ちます。
黒真珠は一粒一粒に個性があり赤みの強いもの、淡いピンクなど様々な色合いです。
品質の高い真珠の見分け方には次のような基準があります。
巻き(真珠層の厚み)
黒真珠には、中心に核と呼ばれる球体の物質があり、その周りを真珠層が巻いています。巻きとは真珠層の厚さのことです。真珠層は、肉眼では見えない厚さ約0.0003mmの結晶層が数千層も積み重なることで、表面だけでなく内側から真珠の輝きを生み出します。
照り(光沢)
真珠層に入り込んだ光が反射することで内面から光を放ち、この内面光沢を照りと呼びます。照りが良いということは真珠層の巻きが厚く、均等であるということです。
真珠の色には、干渉色、実体色、下地色の3種類があります。
干渉色は、真珠層の中に入った光が屈折、反射、透過などにより混ざりあって表面に現れる色のことです。身近な例では、シャボン玉の表面に現れる虹色の発色が同じ原理によるものです。
実体色は、真珠層に含まれるタンパク質の色素で、実際に真珠が持つ色のことです。
下地色は、核と真珠層の間にある有機質層が透けて見える色のことで、ブルー系のアコヤ真珠などはこの色によるものです
黒真珠では、クロチョウガイの持つ赤褐色、青褐色、黄褐色の3色の色素がさまざまな濃度で混ざり合うことで、ブラック系、グリーン系、レッド系、イエロー系など、色のバリエーションが豊富です。
そのほかにサイズ、形、キズなどがあります。
黒真珠はアコヤ真珠とは別の魅力がありますね。
コクチョウガイはボタンにも使用されます。